さゆぽんの防犯対策インタビュー。
6回目の今回は荒川区長・西川太一郎氏を訪ね「安全安心都市あらかわ」の取り組みについて伺いました。

昭和17年 荒川区に生まれる
早稲田大学商学部卒業
昭和52年7月~平成5年7月 東京都議会議員
平成5年7月~平成15年10月 衆議院議員
この間、防衛政務次官、教育改革国民会議国会議員代表、経済産業大臣政務官、経済産業副大臣を歴任
平成16年11月14日 荒川区長に就任(現在4期目)
平成23年 特別区長会会長に就任(現在4期目)
平成25年 住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合
(通称:幸せリーグ)会長に就任
※荒川区HPより参照
知恵を絞り工夫を凝らした先進施策の実行で刑法犯認知件数の大幅減
荒川区は、平成16年3月に「防犯都市」を宣言されました。宣誓文では、「犯罪のない、安全で安心して暮らせる地域社会の実現は、荒川区民すべての願いである。私たちは、温かい人情にあふれたこのまちを守るため、区民一人ひとりが防犯意識を持ち、地域が一丸となって、安心して暮らせるまちづくりを進めることを決意し、ここに荒川区を「防犯都市」と宣言する」とあります。現在の治安状況についてお聞かせいただけますか。
治安状況は抜群に良いです。荒川区は、治安ナンバーワンの「安全安心都市あらかわ」を目指し、荒川・南千住・尾久の三つの警察署と覚書を交わし、緊密な連携を図っています。三署長には、よくこの区庁舎にお越しいただいて、警察事象の発生具合や区への要望などを私どもにきめ細かくお話しいただいています。就任や離任、異動の際にも必ず来庁してくださるなど警察署との良好な関係が、防犯都市・荒川区を支えると大きな柱になっていると思います。
平成16年に3593件あった刑法犯認知件数が、平成30年に半減し1517件になっているんですね。「特殊詐欺」も23区で最少とのこと、素晴らしいですね。
そうですね、区内の刑法犯認知件数は大幅に減少し、強盗、侵入窃盗、ひったくり、女性や子どもへの犯罪といった警視庁が「指定重点犯罪」と呼んでいるものも、123件と23区で最少となりました。このことを記載した名刺サイズのカードを作りました。町会長の皆さんやオピニオンリーダーの方々に差し上げて、会合の時などにその場にいる皆さんに伝えていただけたらとの思いからです。
平成28年には、「街頭防犯カメラ設置方針」も策定されました。町会や商店会などの地域団体との協働で、必要な場所にバランス良く配置され、効率的な運用が図られて、区民が安心して暮らすことが出来る街づくりを推進されていらっしゃいます。
街頭防犯カメラは積極的に推進しています。現在区内に約900台設置されており、400台が町会や商店街など地域団体に設置していただいたもの、500台が通学路や公園などに区が設置したものです。
防犯カメラの設置目的として、犯罪抑止はもちろん、犯罪に対する不安の軽減、捜査への活用、地域防犯力の向上を挙げておられます。防犯機器の設置費や維持費の補助制度もあるなど、非常に手厚い内容になっています。
区内に4箇所あるという「安全安心ステーション」についても、お聞かせいただけますか。
「安全安心ステーション」は、地域防犯の拠点のことで、廃止交番などを活用し、警察官OBの方々に詰めていただいて、子どもたちの登下校やお年寄りの見守りをお願いしています。何かの時には、そこに設置してあるテレビ通話で荒川警察署などに繋がるようになっています。

下校時から夜間に青色灯をつけた「安全安心パトロールカー」を走らせてもいらっしゃるそうですね。
「青パト」という愛称の区内専用のパトロールカーです。基本的に午後1時から朝5時まで、365日5台体制で巡回しています。軽自動車なので、狭い路地裏にも入っていって細かく見ています。一見パトカーに似ていますが、赤色灯ではなく青色灯。サイレンは鳴りません。マイクで警備員が随時声を掛けたりしています。警視総監の許可も得て運用しているんですよ。
荒川区において、治安の向上、犯罪の減少には、具体的にどの対策が功を奏しているとお考えでしょう。
防犯にはあらゆる手を打っています。それがトータルで効いていると思います。お話しした以外にも、荒川区では、民間事業者とも見守りに関する「協定」を締結しています。「ながら見守り協定」というもので、例えば、商品を配送しながら小学生やお年寄りが困った目に遭ってないかにも気を配ってもらい、何かあればすぐ最寄りの警察署に通報したり、安全確保にご協力いただくというものです。
そうした見守りや声掛けを通して、地域の人々の間に安心感が生まれたら、事件や事故だけでなく、ひいては、今問題になっている高齢者の孤独死や子どもへの虐待なども減少するように思います。とてもいい取り組みだと思います。